【完】狂犬チワワ的彼氏
「木塚。
そもそもお前が告った時に“キモイ”とか言いながら、翌日には“やっぱ俺と付き合え”って。
それに、よくよく考えてみたらオカシイと思わないか?
もし妃由の言う通り木塚が本当に普段からそんな奴なら、周りはお前に“アイツはやめとけ”って言ってるはずだろ?」
「!」
「でもそんなこと誰一人として言わなかったし、むしろ“おめでとう”って言ってたよな。
っつか俺、木塚とは別の委員会で一緒になったことがあったけど…マジで良い奴だったぞ。
お前に対するソレは、ただの照れ隠しなんじゃねぇの?」
そう言うと、うつ向くあたしの顔を覗き込む。
でも、それでも納得がいかないあたしは、そんな直樹の目から視線を外して横を向いた。
…照れ隠し、か?
あの“キモイ”とか“ブス”とかの暴言が?
……いや、それはナイだろー。
「っつか、それより早くゲームやるぞ」
「…あ、うん。そだね」
そしてあたしが尚も考え込んでいると、直樹がそう言ってまたゲーム機を手に持った。
その言葉に、あたしもやっとゲームをしようとそれを手に持つけど…
「…!」
その時、ふいにあたしの携帯が鳴って…
突如木塚くんから、電話がかかってきた。