domino
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　「フェラーリだ。なんか、最近縁があるな。」
　コンビニの前に停まっているフェラーリを眺めながらそんな事を考えた。すると、そのフェラーリの助手席から人が降りてきた。運転席に回り手を振っていた。僕は特に気に留めるでもなく、そのままコンビニへ向かって歩いた。コンビニが近くなるにつれ、だんだんと手を振っている人がはっきり見えてきた。
　「鈴木・・・さん？」
　その姿は鈴木友里だった。僕はショックを受けていた。
　「そうだよな。あれだけ可愛いんだから彼氏くらいいるよな。」
　ポルノグラフィティのライブに誘われた事で、もしかしたらと淡い期待を抱いていた。しかし、そんな淡い期待は今、目の前にある現実にいとも簡単に打ち崩された。そのままコンビニに行って彼女に会ってもどんな顔をしていいのかわからなかった。僕はコンビニに行くのを諦め、通り過ぎる事にした。こんな些細な事に僕の心臓は鼓動が早くなっていた。
　コンビニの出口を通り過ぎた。
　「良かった。彼女には気づかれなかった。」
　そう思って深呼吸をした。その時、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。
　「大河内さん。」
　紛れもなく彼女の声だった。また、僕の鼓動は早くなり出した。
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表紙・目次

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