ピアノを弾く黒猫
「―――何しているんだッ!!」
鋭い声と共に、あたしと生島くんが離れる。
生島くんを後ろから羽交い絞めにしているのは…
「黒田くんッ……」
「大丈夫?優子さん」
あたしの目から、涙があふれ始める。
手をロープで縛られているから、涙は拭えぬまま、こぼれ落ちて行く。
「優子さん、泣いているじゃないか!
好きなら、優子さんが喜ぶことしろよ!!」
「離せ!
僕から優ちゃんを引き離すことは出来ない!
僕と優ちゃんは、一心同体なんだ!!」
生島くんは狂ったようにあたしの名前を呼び、黒田くんから離れようとするけど。
黒田くんは生島くんを羽交い絞めにしたまま、離さない。
「そう思っているのはアンタだけかもしれねぇよ!
優子さんの気持ち、アンタは聞いたのか!?」
「優ちゃんの気持ちは、聞かなくてもわかる!
優ちゃんも僕を愛しているはずだ……!」
「なわけないでしょッ!!」
あたしは思い切り叫んだ。
生島くんが暴れるのを止め、あたしのことを見る。