満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
家に着くと、お姉ちゃんが駆けつけてきて
「結衣!……まず、お風呂入ろうか」
そう言って私を抱えながら歩く。
『お姉ちゃん…』
「一緒に入ろうか、久しぶりだね」
『うん…』
今だけ…お姉ちゃんに甘えよう
私がお姉ちゃんとお風呂に入っている間、桜田さんは私の両親に康太の事、私が医者になりたいと思った事を話してくれていた。
お風呂中、お姉ちゃんは世間話や昔話をずっとしてくれて、少しだけ私の気持ちは軽くなった。
『お姉ちゃん……また一緒に入ろう』
「え?ふふ、いいよ、温泉とかもいいよね」
私とお姉ちゃんはリビングへ向かう
リビングには、桜田さんがと両親がいて話は全てきいたのだろう
お父さんは難しい顔をし、お母さんは少し泣いてるようにも見えた。
「結衣、座りなさい」
お父さんの言葉に私は桜田さんの隣に座った。
それを見てお父さんは少し驚いていた
「結衣…なぜ桜田さんの隣に座るんだ?」
『……わかりません、けど私はもうコッチなんだと思っています』
「……結衣様っ…」
私は康太の……家族でいたかった
『お父さん…私、これから康太と生きていくために何が出来るか考えたの』
『康太が私を助けてくれて、今の私がいる……だから、今度は康太を助けたい。私に出来ることは限られているけど……けど、康太が目を覚ますのをただ待っていたくない』
「結衣の気持ちはわかった」
「だがな……うちには結衣を大学に通わせるお金はない……」
『お金は……私が働きます』
『働きながら勉強します』
『私が……決めたことです』
「結衣様、お金のことなら……」
『桜田さん……それじゃダメなんです、康太にいつまでも甘えてたら……』
お金のこともこれからの生活も
私は両親にも
桜田さんや、康太のお父さんにも
お世話になるつもりは無かった。