満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
私の薬指には康太がくれて指輪
ずっと見ちゃう
にやけちゃう……
『……うふふ』
「ふっ……そんなに嬉しいならもっと前に渡せば良かったか?」
『ううん、今だから幸せなの』
久しぶりに私の実家へ行くことになった。
いつぶり?
私が医者を目指すって出てから
一度も帰ってない。
電話もたまにしてたけど
東和病院に行ってからは全く…
『久々に実家だから緊張するな……』
「は?家に帰るだけだろ」
『……てか、なんでスーツなの?』
「は?結衣を嫁にもらうんだ、挨拶するのに普段着はダメだろ」
『あ……、そうだね……えへへ』
なんだか、それも嬉しくてにやける。
実家までの道のりはあっという間。
10年ぶりに帰る
何も変わらない……
工場もそのまま……
康太に出会わなかったら
工場も家も無くなってたかもしれない。
久しぶりに玄関を開ける
『ただいまー』
私の声に、バタバタと足音が聞こえ
「結衣!!」
出てきたのはお姉ちゃん
『ただいま……』
そう言いなおすと
お姉ちゃんは笑顔で
おかえりって言ってくれた。