満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜


「失礼致します、麻衣子様をお連れ致しました」

桜田さんの後ろに緊張している麻衣子がいる。


『桜田さん、ありがとうございます』
『麻衣子、ごめんね…緊張してるよね』

麻衣子は私を見て安心したのか

「ちょっと、結衣、マジ誘拐されんのかと思った」

え?なんで?

「だって、この人…ドアロックは解除できませんのでって言うの」


はい?……桜田さん?
もしかして……


『麻衣子……桜田さんの冗談なの。私も別な事されて、殺されるかと思ったから』


桜田さんは、涼しい顔して冗談な事を言う。けど、冗談に聞こえないんだ…


「桜田、一般人には通用しねぇだろ」

そのやりとりに、康太が言う。


「……須藤…康太…」

康太の存在に麻衣子は驚いていた


「結衣がお世話になってる人って…須藤康太なの?」

『…うん』


麻衣子が驚くのも無理はない…
だって、ヤクザだもん。


私がそんなふうに思っていたけど
康太の目には違うようにうつっていた。


「俺は聞きたいことを聞いたら、席を外す」
「大橋麻衣子…悪いが調べさせてもらった」

その言葉に麻衣子の表情が変わった。

私は麻衣子の肩を抱きソファに座る。


「…調べたが、普通の高校生しか出なかった……」

その言葉に麻衣子は安心をしたのか息をはいた。

「…俺はこれを作り物だと思っている」
「親の理由で、あんな高いマンションを一人暮らし、バイトしてるわけでもない、親は片親、普通のサラリーマン…普通のサラリーマンがあんなマンションを買えるわけがねぇ…ますます怪しい…」

康太の話に麻衣子は下を向いてしまう。

『麻衣子…ごめんね、こんなことして……けど、私がここに住んでいる以上、康太はもちろん、私も…いつ誰に命を狙われるかわからないの…だから、調べる必要があったの…』


沈黙が続く…


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