満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜
沈黙を破ったのは……麻衣子。
「須藤さん…これから話すことは多様無言でお願いします…」
「あぁ。そのつもりだ」
「結衣…結衣に話したかった事…」
「私の親ね……私が小さい頃に離婚したの。原因は父親の浮気と酒…」
「私は母親に引き取られたけど、食べて行くのがやっとで、私に手が回らなかった……だから、施設に預けられたの」
初めて聞く、麻衣子の過去に驚いた
麻衣子が施設なんて…なら、今の暮らしは?
「月に1度だけ、必ず面会に来る施設の決まりで、その日だけは必ず面会に来たの……けど、それは仕方なくた感じだった」
「中学に入ってから…母親は男を連れてくるようになった…毎回、同じ男だった」
「中学3年になる頃には、私もその男に慣れ…多分、母はこの男と結婚するんだと確信したの」
「そして、その日が来たの……母とその男は再婚した……施設を出ることになったの」
「…けど、私と暮らすことは無かったの…男は私に今のマンションを与え、不自由しない額を毎月……」
な……なんてこと……
母親は……
「本当は私が邪魔だったんだと思う…けど、相手がそれを嫌ったんだと思う…だから数ヶ月に1度、母じゃなく母が結婚した男が私に会いに来るの……なんか、不思議でしょ……母より大事にされている感じがする」
「私は養女にはなれなかった…だから、父の性を名乗ってる…養父の事情でね…」
「……須藤さんが調べた私は、養父によって作られたものです…養父と私が関係がないように……そうしないと、私が狙われるから…」
黙って話を聞いていた康太
「狙われる…物騒だな……ヤクザか?」
麻衣子はその言葉に膝の上の拳をぎゅっと握り直し康太の目を見て
「私の母の名前は…陽子……須藤陽子、養父の名前は、須藤康介です」
須藤……まさか……
そう思って、康太を見ると
「やはり…」
やはり?知っていたの?
「陽子さんに娘がいる事は知っていた……が、結衣の友達だったとは…」
「ったく、ちいせぇな……親父は…」
『……ってことは…麻衣子と康太は本来は家族なの?』
「そうなるな……」
麻衣子の話もびっくりだけど…
それもびっくりだった。