悪い男〜嘘つきより愛を込めて〜
峯岸に言うと俺は副社長室を出た。


会社中のどこを捜しても彼女はいない。


気づけば副社長室に戻ってきている俺に

峯岸は彼女と連絡がつかないと言った。


今はどうすることもできない。


彼女は大事な存在だが俺は今しなければ

ならないことがある。


そう…

今日、決着をつける。


その足で彼女の元に向い、俺の思いを伝

えよう。


ーー
ーーーー
ーーーーーー


大和会長と会う某料亭の前


「副社長‥お時間です」


「あぁ、わかった‥…胡桃と連絡がつい

たか?」


「いいえ…電源が切れてるままです」


「そうか…決着後、彼女のアパートに向

かうから住所を調べておいてくれ」


「はい…かしこまりました」


「それじゃ、行ってくる」


車から降り、料亭のなかに向かった。


女将の出迎えで、大和会長のいる部屋に

案内される。


「失礼します…お連れ様、おみえです」


女将が襖をスッと開けなかに入っていく

と、大和会長と孫娘がいる。


とりあえず


「お呼びだてしたのに遅くなり、申し訳

ございません」


「いや、気にするな」


「ありがとうございます」


姿勢をだだし、頭を下げた。


「で、話とは⁇」


会長の声でチラッと女に見る。


「偶々、君の秘書からの連絡をもらった

時にこの子もいたんだよ。君に大事な話

しがあるからとついてきたんだ」


「…そうですか。……」


「私から先によろしいですか⁈」


「えぇ、どうぞ」


「昨日、偶然あなたの婚約者の女性秘書

の方とお会いしました。ですが、彼女は

男性の方とお見合いしていたようです。

どう言うことでしょうか?」


率直な質問に俺は策を練り出した。


「今、私の会社は危機に遭遇しています

。それで彼女は会社の為に私と別れると

いい身を引いた。ですが、彼女以外の人

と結婚する気はありません。会社の為に

彼女と一緒になる為に調べさせてもらい

ました。大和会長…私どもの会社の危機

を裏で操っていた人物の証拠です」


「な、なんだと…」


証拠の品を見てワナワナと奮える会長。


「振り込み先、破格の金額、そして問題

のあった業者…いい訳できない証拠です

よね」


「誰が…」

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