Love nest~盲愛~

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(少し遡る)

16時を少し回った所。

「えなっ!!」

「哲平、落ち着けっ」


とある大型車両の車内で、哲平と御影 京夜。

そして、モニターの画面を射抜く勢いで鋭い視線を向ける人物がもう1人。

画面には、現場となる屋敷の中にちょうど入ったえなの姿が映し出された。


数日前に白川を二重スパイとして雇った御影は、この車両の指揮官である人物にこの一件を委ねたのだ。

仕事で取引のある女優の婚約者である、久我 柾(検事)に少し前から情報提供をしており、水面下で動いていた。

西賀 孝之は薬物使用、所持等で以前からマークされている重要人物。

伝手があるのか、これまで何度も検挙しても上手い具合に逃げられてしまっていた。

だから、今回はかなり力が入っている。

西賀の力よりも御影の力の方が影響力があるからだ。

久我にとったら、願ってもないチャンスであり、最後の切り札でもある。

えなを餌に釣る作戦だが、えなが無事でない事には話にならない。

一か八かの賭けに等しい。

会食の席でえなに向ける視線が明らかに異質なものだったことと、白川からえなの情報を得ようとしていることを擦り合わせた結果、自ずと見えて来た今回の作戦。

哲平は、出来ることならえなを餌に使う真似はしたくなかった。

当然だといえる。

だが、八方塞がりの状態で、一撃で仕留めるには多少の犠牲も必要になる。

後々に引き伸ばしても、結局は同じで。

いつかは犠牲を払ってでも仕掛けない事には決着がつかない。

哲平はモニターに釘付けで固唾をのんでいる。

御影が久我検事と知り合いだと知り、今回の一連の流れを思いついた哲平は、全ての手配とかかる費用を全面バッグアップする形にした。

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