Love nest~盲愛~
「えな」
「………はい」
「もし今後、こんな家に住みたいとか、こういう所に住みたいとか出て来たら、その時にすぐ言え」
「………もしかして、建て直すとか引っ越しするとか言い出すんじゃ……」
「当たり前だろ」
「っ………」
怖い怖い怖い。
彼の金銭感覚もだけど、思考回路が全くの異次元すぎて。
「えなにとったら重いかもしれないが」
「……」
「あの絵が、俺の唯一の生きる希望だったから」
「え……」
「何度も死にかけてICUに入ったし、その度にあの絵を眺めて生きながらえたから」
「……哲平さん」
幼い私がお遊びで描いた絵にそんな力があるだなんて。
「それに、俺の体の傷を見ても、唯一怖がらなかったのは、えなだけだ」
「え?」
「この子だけは、俺の表面ではなくて、中身の俺を見てくれていると、そう感じた」
「……」
「俺にとって、えなは唯一のお姫様だよ」
そう言って、彼は額に優しく口づけた。
「哲平さんは私にとって、永遠に白馬に乗った王子様ですよ」
「当たり前だろ」
「え……それ、自分で認めます?」
「だって、可愛いお姫様にはカッコいい王子様って、絶対条件だろ」
彼の常軌を逸した思考回路が、ほんの少し理解出来た瞬間だ。
私の為に、だからこそ自分の為に。
お互いがずっと昔から求めていた最高のハッピーエンド。
この自宅は、私と彼のお城。
「哲平さんが迎えに来てくれた日。あの日に、私が哲平さんの条件を呑まなかったらどうしてました?」
「そうだな。気絶させてでも担いで連れ帰っただろうな」
「ッ?!……怖いですよっ」
「それくらい、えなと一緒にいたかったから」
「っ……んッ……」
恥ずかしさを隠す為なのか、不意に唇が重なった。
少し怖いと思えるほどの彼の盲愛。
けれど、愛されることの倖せを知ってしまった今。
逃げ場のない愛ですら、心地いいとさえ感じるほどに……。
~FIN~


