Love nest~盲愛~
「お待たせ致しました」
「ありがとう」
「私も頂いても宜しいですか?」
「あぁ、勿論。えりなちゃんも一緒に」
「宜しいのですか?…………有難うございます」
優しく頷く宮本様に笑顔で会釈し、急いで水割りを2杯作る。
乾杯する為に、宮本様を待たせる訳にはいかないからだ。
乾杯を済ませると、あかりさんは宮本様と会話を弾ませる。
その間に私は、宮本様用のチェイサーをお作りする。
チェイサーを作り終え、宮本様の水割りのグラスの少し左側にそっと置くと。
「えりなちゃんは、物静かな子だね」
「えっ?………そうですか?」
「ん、雰囲気があかりに良く似てるよ」
宮本様の言葉にどう反応していいのか解らず、あかりさんに視線を向けると、柔和な表情で小さく頷いた。
「……嬉しいです。あかりさんは、私の尊敬する先輩なので」
「困った事があったら、あかりに何でも相談するといいよ。この子はこう見えても結構苦労していてね、話していると私の方が勉強になるくらいだ」
「えっ、そうなんですか?」
「あぁ。だから、私もこうしてたまに相談しに来るんだよ」
「宮本様ったら、もう酔われたのですか?」
あかりさんが少しはにかんだのを眺めながら、宮本様は優しく微笑みグラスに口を付けた。
その後も楽しく3人で会話していると、
「えりなさん」
「ッ?!」
突然、小声で名前を呼ばれた。
その声のもとに視線を向けると、黒服が腰を落として、店内の喧騒に消え入りそうな声で呟く。
「ご指名です」
「はい?」
「指名が入りました」
「…………え?」