Love nest~盲愛~


新人である私は、今日が初日。

写真パネルも無ければ、まだ名刺も無い。

…………なのに、何故?


あっ、そうか!

あかりさんに入った指名の為に、私に宮本様のお相手を1人でしろって事ね?

初日から1人でヘルプをするだなんて大役、私に務まるかしら?

でも、NO.1のあかりさんのお客様に、例え新人でも粗相は許されない。


私は気合を入れ直し、横で腰を落としている黒服に笑顔で答えた。


「全力であかりさんのヘルプをします」

「へ?」

「あかりさんにお伝えしますか?」

「……はい?」


黒服は、私の言葉に首を傾げた。

すると、困惑の表情で一旦席を外し、黒服責任者である松川さんが姿を現した。


「えりなさん」

「はい」

「宮本様にご挨拶をして頂き、私に付いて来て下さい」

「………え?」

「えりなさんをご指名したお方がお待ちです」

「…………?」


これは、幻聴だろうか?

私に『指名』?

何の冗談??


松川さんの言葉が理解出来ない私は、瞬きも忘れ放心状態になっていた。

すると、松川さんは機転を利かし、反対側に座るあかりさんに耳打ちをする。

そんな光景を他人事のように呆然と見つめていると、


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