Love nest~盲愛~


ホテルを出て数分歩いた先に待ち構えていたのは、コンクリート打ちっぱなしのお洒落なショップ。

大きなガラス窓とナチュラルウッドのフロアが、ひと際目を惹いた。


彼のエスコートでショップ内に足を踏み入れると、背のスラリとした女性が私達を出迎えた。


「いらっしゃいませ」

「彼女に合う服を適当に選んでくれ」

「畏まりました。恐れ入りますが、ご予算の程は……?」

「幾らでも構わない。あっ、それと、この後に人前に立つ予定が入っているから、目劣りしない勝負服を頼む」

「……畏まりました。では、こちらへ……」


彼に押し出される形で、スタッフのもとへと歩かされる。


人前に立つ予定?

目劣りしない勝負服??

一体、どんな場所へ連れて行くつもりかしら?


しかも、幾らでも構わないって……。


彼の発する言葉1つ1つが、恐怖心を植え付けてゆく。

彼に逆らわない事が一番大事なスキルだけど、今はそれよりも、何も聞こえないフリをするスキルが一番役に立ちそうだわ。





邪心を払うかのように、店員さんが選んだ服に次々と袖を通す。

彼を待たせてはいけないと思って、形振り構わず着替えに集中していると。

不意に袖口に留めてあるプライスカードが目に止まった。


………卒倒しそうな金額に、くらりと眩暈を覚えた。



「お客様、こちらが最後になります」

「あっ、はい」


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