[短編]初恋を終わらせる日。




どうしてここまで言ってるのに、本当のことを言ってくれないの。

あるはずの無い、逃げ道を探すの。


この嘘が私を傷付けない為だっていうのなら、そんな嘘欲しく無い。


だって、悲しすぎる。

残酷すぎるよ。


あまりにも私、惨めじゃない。




「本当のこと言えば楽になるのに、何を躊躇うの」


「僕はーー」


「私、本当お姉ちゃんにそっくりだもんね。だから、側にいるんでしょ?」




そう聞けば、優也くんは俯いてしまった。

YESともNOとも言わないのが、優柔不断でどこか頼りない優也くんらしい。


それは君の優しさからきているものだと思ってたし、好きなところだったのに、今は私は苛立たせる原因でしかない。




「……私が異性として好きだった瞬間なんて一秒もないことくらい、気付いてた」




それでも良かったんだ。

それだけ好きだったし、今でも好き。


好きは大きくなるばかりで、もうね、受け止めてもらえないこの気持ちは一人じゃ抱えきれないの。





< 10 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop