[短編]初恋を終わらせる日。
「思ってたし、今もそう思ってる」
「……そんなわけ、ないじゃん」
潤んだ瞳で私を見つめて、震える声で言葉を紡ぐ。
そんな君が、私の心を揺さぶる。
信じてしまいたくなる。
また、騙されてしまいたくなる。
ーーこんなの、演技だって気付いてるのに。
いつになったら、嘘をつく時の癖に気付くの?
切なそうに目を伏せて、二回瞬きをして、ゆっくりと視線を上げて私を映す。
……もう、無理だよ、優也くん。
バカを演じるのも疲れたし、限界なの。
「もう、苦しいんだってば……っ」
ただの片想いだった時期よりも、ずっとずっと苦しくて堪らない。
彼女になって近くなったはずなのに、どうやったって私じゃ埋められない距離を突きつけられただけだった。
「さっちゃん……」
「ズルい。ズルいよ、優也くんは」