君と想い出をもう一度
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ミュウとの出会いは決まっていたようなものだった。

『ごきげんよう、ラルム様』 

懸命に挨拶をした七歳の彼女を、ラルムは今でも覚えている。

人見知りから来るちょっとした不快感も。


もっとも今では人見知りなど無かったかのようなラルムなのだが、


城塞都市──いや、城塞国のミュエルでは王族・貴族間の政略結婚は当たり前の世界だった。


王族のラルムは、下級貴族であるミュウの父・ボルドーから勉強を教わっていた。

上級貴族では学問に関して驚くほどの馬鹿が揃っていたため、ラルムの祖父である王が好かなかったのだ。

つまり、必然的に王室付き教授を輩出する家だということだ。


「ラルムラルムラルムラルムーっ!!」


ほら、また来た。


十五歳という微妙な年頃に差しかかったラルムは溜め息をついて後ろを振り返った。


「何だよ、ミュウ」


走って来る少女は、そんなラルムのぶっきらぼうな口調を気にもとめない。


「今度、お父様がバラ園に連れていってくれるって!!」


「はぁ?バラ園?んなもん家にもミュウの家にもあるだろ」


「それがね、お国の方の育ててらっしゃるバラ園なの!!とても良い香りがするって!!」


ミュウは平民を【お国の方】と呼ぶ。


平民、と呼ぶのは気が引けるそうだ。

「ラルムも行くでしょ?」

「行かねぇよ」


「何でー!?何で何で何でよー!!」

「バッ…分かったよ行くようるせぇな!!」










あの日も、そうだったのだ。

こんな風にミュウは訪ねてきた。
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