君と想い出をもう一度
◇゜。◆.・


「ラルムラルムラルムラルムー!!」

誰かなんて確認するまでもなく、いつものミュウだ。

ただ変わったことと言えば──とても美しくなったということ。


十八になったラルムとミュウは、貴族の間でも【絶世の美男美女】と目されるようになっていた。


艶やかな、長い蜂蜜色の髪をなびかせて走って来る姿は、まるで妖精のようだ。

澄んだ瑠璃の瞳が真っ直ぐにラルムをとらえている。

「…ミュウ。転ぶぞ」

「転ばないよ」


こんな会話が出来る位には二人も大人になっていた。

「ラルム!婚礼、もう今週末だよー」

「まだ火曜だぞ。お前ウキウキし過ぎだろ」


はしゃぐミュウにラルムが呆れたように返す。


「何でラルムはそんなにクールなのー?」

ミュウも唇を尖らせる。


「ずっと決まってたことだし、今さら喜ぶことでもないからな」


「許嫁だったとはいえ好きな人と結婚できるなんて稀だよ?」


「そうだな」


そこは否定しない。

実際ミュウと自分は恋人同士なのだから。


「ねぇ今日は久しぶりに星を見に行かない?お父様が言ってたんだけど、とっても綺麗だそうなの」


「この時期に城脱け出すとか論外だろ、一国の姫が」

「まだ姫じゃないもん」


はぁ、とラルムが溜め息をついた。

屁理屈が上手いのだ、この娘は。
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