君と想い出をもう一度
「さ、行きましょうラルムさん」

「ああ」

また僅かに痛んだ胸に知らないフリをする。

いつかまた、勿忘草の咲く庭で。

君に会えるだろうか。

そんな自分勝手な思いを、彼女は受け入れてくれるだろうか。

「でも、物騒ですねぇ」

ふとミュウが言葉を洩らした。

「そうだな、俺も独自の処刑方法があるなど聞いたこともなかった」

「そういう宗教があるんですか?」

個人的な恨みであれば処刑などという言い回しはしなくても良いし、第一人目に触れさせない方が何かと得なはず。

ならば宗教と考えるのが妥当なはず。

ミュウは首を傾げてラルムを窺った。

「いや、今までそんな宗教は無かったはずだ」

「今まで、というと?」

微妙な躊躇いに気付くところはさすがと言えよう。

「朱雀家が少しずつ変化しているんだ。最近はなぜだか暴力的な思考が強くなってきている」

眉間に深いシワを刻んで難しい顔をしている。

ミュウには自分のことを護衛だと伝えた。
王族だが幹部的立ち位置であるから、護衛なのだと。

ミュウは理解してくれたが、ラルムには真っ赤な嘘である。

王子でありミュウの婚約者─そんなこと、口が裂けても言えない。

今の関係さえ失ってしまえば、きっと自分は立ち直れない。
ミュウまで戸惑わせてしまうだろう。

ラルムの表情にミュウが眉を下げた。
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