あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。







「よーし、じゃあ今から、来週の社会科見学のグループ決めするぞー」





窓の外に目を向けて、じわじわと鳴き叫ぶ蝉の声を聞いていたあたしは、黒板の前に立つ担任のほうに視線を戻した。





二週間後には、夏休みが始まる。




その前に、恒例の社会科見学があるのだ。




まぁ、社会とかいいつつ、ただの遠足みたいなものだけど。





そういえば、今年の行き先はどこなんだろう。




授業で話があったり、プリントもらったりしたのかもしれないけど、なんせ反抗期だったあたしは、そういうものは全てスルーしていたのだ。





ま、いっか、どこでも。




どうせ、去年と大して変わらないだろう。



バスに乗せられて、どこかに連れて行かれて、なんか話を聞いたりして、お昼ご飯食べて、またどこかに行って話を聞いて、帰ってくる。





あたしは頬杖をついて担任のアオキが黒板に書く文字をぼんやり眺めていた。





「じゃ、6人グループ6つ作るから、仲良い奴らと適当に組め」





仲の良い子と適当に組む、というのは、あたしみたいな人間にとってはなかなかハードルが高い。




なんせあたしは、筋金入りの(元)問題児で、クラスメイトたちには不良と思われてるわけだし。





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