上司に秘密を握られちゃいました。

「むかしむかし、あるところに……」


お話が好きだったその女の子は、すぐに物語の世界に引き込まれ、ニコニコしだした。

物語がちょうど終わるころ、やっとお母さんがやってきた。
私の膝から飛び出して行った女の子は、お母さんに抱きついて泣き出す。


「すみません。ありがとうございました」

「いえいえ。とってもいい子にしてましたよ」


全員保護者に引き渡せたことで、ホッと気が抜けた。


業務延長を言い渡されているわけではないけど……もしかしたらまだ迷子が来るかもしれない。
散らかったおもちゃを片付けながら、しばらく待つことにした。


すると数分後、真山さんが顔を出した。


「お疲れ様。あとは受付担当でなんとかできそうだし、今日は上がってもらってもいいよ」

「はい。お疲れ様でした」