上司に秘密を握られちゃいました。

「プライベートで、敬語はいらない。俺たち、恋人同士だろう?」


ハッとして頭を上げると、少し照れたような彼の顔。


「……はい」


本当に、恋人なんだ。
こんなに素敵な人が、私の彼氏。

これは、夢じゃない。


テーブルの向かいに座っている彼は、そのまま私から視線をそらさない。


「藍華」

「えっ?」

「好きだよ」


初めての呼び捨てのあと、体を乗り出してきた彼は、私の唇に優しいキスをする。
温かくて柔らかい感覚は、これまでにないほどに、私の鼓動を速めさせた。

あまりに突然の出来事に、目を見開いたまま固まる私。
キスの時も目を閉じるの忘れてた。


「イヤ、だった?」


きっとテンパりすぎておかしな顔をしていたのだろう。
心配した真山さんが私の顔を覗き込む。


「イヤなわけ……」


ない。
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