上司に秘密を握られちゃいました。
真山さんに連れて行かれたのは、時計売り場。
そこにいたのは、あの大きな体の……。
「あら、藍ちゃん」
「早乙女様、いらっしゃいませ」
真山さんと一緒に行ったリアンで出会った、あの人だった。
「西里がラッピングいたします」
「まぁ、ありがと。大切な人の結婚祝いなのよね」
「それは、おめでとうございます」
深々と頭を下げると、「ちっともめでたくないわよ。私の雅斗君なのにぃ」と悔しがっている。
やっぱり……早乙女様って、そっちの人?
とはいえ、顔は笑っている。
こうしてお祝いを用意するのだから、本当は喜んでいるに違いない。
「なににしようか迷って、公孝君に相談したら、時計はどうかって。
ふたりの寝室に置いてもらって、時計を見るたびに私を思い出すなんていいじゃない?」