上司に秘密を握られちゃいました。

真山さんに連れて行かれたのは、時計売り場。

そこにいたのは、あの大きな体の……。


「あら、藍ちゃん」

「早乙女様、いらっしゃいませ」


真山さんと一緒に行ったリアンで出会った、あの人だった。


「西里がラッピングいたします」

「まぁ、ありがと。大切な人の結婚祝いなのよね」

「それは、おめでとうございます」


深々と頭を下げると、「ちっともめでたくないわよ。私の雅斗君なのにぃ」と悔しがっている。

やっぱり……早乙女様って、そっちの人?


とはいえ、顔は笑っている。
こうしてお祝いを用意するのだから、本当は喜んでいるに違いない。


「なににしようか迷って、公孝君に相談したら、時計はどうかって。
ふたりの寝室に置いてもらって、時計を見るたびに私を思い出すなんていいじゃない?」
< 185 / 439 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop