上司に秘密を握られちゃいました。

箱に入った時計は、ラッピングしやすかった。

まずは、ごく普通に箱を包装紙で包んだ後、不織布を巻きつける。
その不織布を中央でワイヤーで絞り、リボン風にする。
そして最後に、ワイヤーが見えない様に、ダブルリボン。

最後にかけたリボンも二色使い、ゴージャスにした。

ちょっとコストが心配だけど、高い時計だったし、このくらい許されるかな……。


丁度出来上がったころ、早乙女様が帰ってきた。


「公孝君、商売上手ね。あの指輪、気になっちゃう」

「よろしければお取り置きしますが」

「そうねぇ。そうしてくれる?」


どうやら、もうひとつ売れたようだ。


「こちらでいかがでしょう?」


ラッピングを見せると、「まぁー!」という早乙女様の大きな声が響いた。
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