上司に秘密を握られちゃいました。
「歴代の制服、覚えてない?」
もちろん、覚えてる。
初代から今に至るまで、必死に調べたから。
そのうち作ったものも、もう十作ほどある。
「……覚えて、ます」
恥ずかしかったけど、正直に答えると、「やっぱり」と満面の笑み。
「俺はいまいちわからないし、手伝ってもらえるとうれしいんだけど」
最高に楽しそうな仕事だ。
だけど、派遣の立場の私が携わることではない気がする。
私達は、あくまで裏方。
「でも……私、派遣ですし」
「紹介予定を繰り上げたい。正式に社員として東郷の一員になってほしい」
「社員に?」
いつか社員になれたら……と思って、仕事に励んできた。
だけど、ずっと先のことだと思っていた。
「もちろん、私情でそう言ってるんじゃない。
いろんな売り場から、藍華のよい評判を耳にするんだ。
ラッピングの技術は社員以上だし、真面目にコツコツ働いている姿は、誰もが認めるところだよ」