上司に秘密を握られちゃいました。
「えっ? 手作り専門?」
「ううん。あげたこと、ない」
そういえばあげたことがない。
義理ですら。
「マジで!」
美晴の驚きっぷりに、私が驚く。
「あれ……もしかして、変?」
「変だよー! だって女子が一年で一番ワクワクする時期でしょ」
そう決めつける美晴に笑ってしまう。
「美晴はあの人に渡すの?」
「えっ? ……まぁ、ね」
アパレルテナントのあの人だ。
「告っちゃう?」
私がそう言うと、照れたような顔をして小さくうなずいた。
「うまくいくといいね」
と言いつつ、うまくいくと確信している。
ふたりは最近、よく食事に行っているし、美晴の担当売り場にもちょくちょく顔を出すから。
「藍華も作りなよ。きっと彼、喜ぶよ」
「……うん」