上司に秘密を握られちゃいました。
それからすぐに売り場に戻った私は、たくさんのチョコレートを目の前にして、なにを作ろうか考える。
だけど、きっとこれらのチョコも吟味して選んであろう真山さんに、満足させることなんて、できるだろうか。
でも……頑張って作れば、きっと受け取ってもらえるはず。
ひとつ目標ができた私は、それから仕事にますます励んだ。
真山さんは本格的に五十周年の企画に入ったようだ。
やはり歴代制服ショーをするようで、資料集めに入った。
恥ずかしかったけど、真山さんの役に立てればと、今まで集めた制服の資料を差し出すと、彼は目を丸くして驚いた。
「いつの間に調べたの」と。
だけど、「長い年月がかかってます」とは言えず、笑ってごまかした。
真山さんは、「その分残業が減った」と、仕事帰りにデートに誘ってくれることが増えた。
とはいえ、食事に行くだけだけど。
多分、忙しかっただろう。
それでも私との時間を大切にしてくれているのがわかって、幸せなひとときだった。