上司に秘密を握られちゃいました。
ライバル現る?
やっと休日が重なった私たちは、時間を惜しむように、朝早くからデートをすることにした。
「真山さん、疲れてないですか?」
私を迎えに来てくれた彼は、「藍華に会えるなら平気」と笑う。
彼はシンプルな洋服が好みのようで、今日は紺のタートルネックのセーターと、チノパン姿。
おそらく東郷でそろえたものだから、それなりの品質のものに違いない。
私はといえば、東郷の商品で全部そろえるほどのお金もなく、今まで持っていたものをコーディネートしただけだった。
ライトブラウンのタートルセーターに、ブラックのツイードワンピース。
シンプルすぎるけれど、あの福袋に入っていた白いコートを羽織ると、それなりには見える。
さりげなく手を握られた私は、それだけでドキドキして、まともに彼の顔を見ることもできなかった。