上司に秘密を握られちゃいました。

まず向かったのは、映画館。

東郷最寄りの駅を超え二駅行くと、大きな映画館がある。

平日のモーニングショーは空いていた。
休日に休みの取れない私たちだけど、こういう恩恵もある。


「なににしよう?」


特になにをと決めていなかった私たちは、チケット売り場の列に並んであれこれ考える。


「真山さんはいつもなにを見るんですか?」

「俺、映画なんてすごく久しぶりなんだ。だから全然わからないや」


クスッと笑う真山さんは、それでも「あれにしようか」と私を誘導する。


真山さん、彼女いなかったのかな……。
『仕事バカだから』と彼はいつも言うけれど、こんな素敵な人に彼女がいなかったなんて信じられない。

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