上司に秘密を握られちゃいました。
ゆっくり歩きだした真山さんの腕にそっとつかまる。
私にしては勇気を出した行動だった。
だけど、彼ともっともっと近づきたい。
一瞬驚いたような顔をした彼は、照れたように微笑んで足を進める。
「今度、食事を作りに行ってもいいですか?」
「ホントに? それはうれしい。そうだ、藍華に家の合鍵渡そうと思ってたんだ」
彼は立ち止まると、ポケットから鍵を取り出し、私に差し出す。
「でも……」
合鍵なんて大切な物、預かってもいいのだろうか。
「俺、やっぱり残業が読めないだろ? カフェで待たせるの、本当は心配なんだ。
藍華がイヤじゃなければ、俺の家で待っててくれると、うれしい」
「真山さん……」
家の鍵を渡してくれるなんて、ちょっと感激。
たしかに最近はすれ違いばかりで寂しいけれど、この鍵があるだけで安心できる。