上司に秘密を握られちゃいました。
「ありがとうございます。今度食事を作って待ってます」
うれしくて泣きそうだった。
本当に、彼の大切な存在になれたのだと実感したから。
目頭が熱くなるのを感じながら、バッグに鍵をしまって再び彼の腕をとる。
平日の昼間のせいか、いつもより空いている駅の構内を、幸せな気分に浸りながら歩いていくと、真山さんが突然立ち止まった。
どうしたの?
彼を見上げると、真っ直ぐ前を見つめて少し険しい顔。
だけどすぐ、何事もなかったかのように再び歩きはじめた。
「公孝、さん」
数メートル歩いたところで、突然彼の名前が呼ばれた。
おそらく、さっき彼の目がとらえた人だろう。
名前を呼ばれた彼は、諦めたように立ち止まった。