上司に秘密を握られちゃいました。

スラッと背の高い彼女は、髪をふわふわに巻いていて、実に上品に見える。
ナチュラルなメイクだけど、目鼻立ちがはっきりしていて、いわゆる“美人”。

そして、質のよさそうな白いウールのコートに高いヒールのブーツ。

私とはまるで違う。
ひとことで言えば、大人の女。


「お久しぶり。彼女?」

「あぁ」


いつもの彼らしくない。
ぶっきらぼうに返事をすると、「それじゃあ」と立ち去ろうとする。


「待って!」


その人は、歩き出した私たちの前に立ちふさがった。


「私、あの人と別れて帰ってきたの。
どうしてもあなたを忘れられなくて。
東郷に行ったけど、お休みだって聞いたから、諦めて帰ろうとしてたところなの」


『あなたを忘れられなくて』って……。
この人と真山さんは、もしかして?
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