上司に秘密を握られちゃいました。
「お包みします。ご希望はありますか?」

「うん。造花でいいんだけど、一輪ずつつけたいのよ。
デザート重についていたの、素敵だったから。
花は藍ちゃんのセンスに任せるわ」

「ありがとうございます。それでは手配します」


デザート重も買ってくれたんだ。
早乙女様なら、ひとりでモリモリ食べそうだけど。

すぐに営業本部に戻って、真山さんを捕まえ、早乙女様の希望を伝える。


「わかった。造花は手配する。なにがいいと思う?」

「はい。早乙女様はロマンチックな方の様ですし、小さなバラなんていかがでしよう?」

「了解」


クスッと笑う真山さんは、「確かにロマンチストだ」とつぶやきながら内線をかけ始める。


「在庫があるようだ。催事場に運んでもらうから、頼める?」

「はい」

「いきなり業務外の仕事、悪いね」
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