上司に秘密を握られちゃいました。
たしかに佳乃さんはきれいな人だった。
私は持ち合わせていない、大人の魅力もある。
だけど、少なくとも真山さんは私と付き合いたいと思ってくれたのだから、自信を持って突き進もう。
真山さんに預かった鍵で初めて玄関を開けるときは、あまりの緊張に手が震え、買い物袋から玉ねぎが落ちてしまったほどだった。
「おじゃまします」
誰もいないのはわかっているけど、一応声をかけ、すぐにキッチンに向かう。
真山さんがいつ帰ってくるのかわからない。
早めに準備してしまおう。
とりあえず……。
自炊はしないと言っていたけど、炊飯器と包丁、なべなどの調理道具はそろっている。
舌の肥えている彼に、なにを作ったらいいのか迷ったけれど、一番得意料理にチャレンジすることにした。