上司に秘密を握られちゃいました。
もしかして、私にもチャンスがある?
テンションがマックスになったころ、こたつの上のスマホが震えた。
『藍華、ごめん。今出たから』
『もしもし』もなく聞こえてきたのは、真山さんの焦ったような声。
「お疲れ様です」
『今……どこ?』
今度は、少し不安げな彼の声。
「真山さんの家におじゃましてます」
『はぁ、よかった。
せっかく来てくれるって言ってたのに、帰っちゃったんじゃないかと心配した』
「まだいますから、お気をつけて」
電話越しに真山さんの息が上がっているのがわかる。
走ってくれている。
『次の電車に間に合いそうだ。すぐに帰る』
「はい」
おそらくあと四十分ほどで彼は帰ってくる。
それからは企画書を手にしても、落ち着かず、頭に入らなくなった。