上司に秘密を握られちゃいました。

「西里君が来てくれたから、今年はふたつだ」

「あれ、奥様からは?」

「そんなもん、あるわけないだろ」

中津さんの突っ込みに、しどろもどろになる部長がおかしい。

他の課員も喜んでくれて、いつもは売上額が飛び交い殺伐とした雰囲気の営業本部も、少しだけ明るくなった。


「西里さん、ありがと」

真山さんにも、手渡した。
もちろん皆と同じもの。

彼のためにだけ作ったガトーショコラは、ロッカーの中にしまってある。

それでもにっこり笑ってくれた真山さんに、ドキドキしていた。


その日は、バレンタインの駆け込み購入が見込まれていた。
買い忘れていた人や、足らなくなった人が走り込んでくる。

それに加えて、少し値段が下げられたチョコを自分のために購入しに来る人もいた。

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