上司に秘密を握られちゃいました。
「佳乃は、実は副社長の娘なんだ」
「そうなんですか!?」
驚きすぎて、大きな声が出る。
「俺と付き合っていたものの、しょっちゅう見合い話があった。
俺には断っていると言っていたけど、どうもそのうちのひとりに会ったらしくて……俺はあっさり捨てられた」
真山さんが、捨てられた?
そんなの信じられない。
「その見合い相手は、大手アパレル会社の社長だった。
メディア戦略がうまくてあっという間に大きくなった会社で、俺より五つ年上の男。
佳乃はそいつと生きていくことを選んだんだよ」
真山さんは苦笑しながら話を続ける。
「トントン拍子で結婚が決まり、海外進出を考えてロスに行ったその男についていった。
ちょうど俺が大阪に転勤になったころで、当時は俺がショックを受けて大阪に行くんだと、くだらない噂も飛んだよ。
未練は、まったくなかったんだけどね」