上司に秘密を握られちゃいました。
「冷たいかもしれないけど、正直、佳乃になんの感情もない。
当時は怒りや憎しみもあったけど、それすらもうどうでもいいと思うほど、心が離れた」
真山さんは私から目をそらさない。
「それでも、心にダメージはあったらしくて、誰かと付き合うのが怖くなった。
また裏切られるんじゃないかと考えると、そういう感情すら持たなくなった」
ダメージがあって、当然だ。
信じていた人に裏切られることほど、辛いことはない。
「だけど、藍華に出会って……この人を逃してはいけないと感じた」
彼の目に吸い寄せられる。
私、やっぱりこの人が好き。
なにがあっても他の人に渡したくなんてない。
「でも……。まさか、藍華まで傷つけるなんて……」
「真山さん」
大きな声が出た。
真山さんのせいじゃない。
「私、大丈夫ですから」
「藍華……」
「だって、真山さんと一緒にいるの、楽しいんです。
ご飯まだでしたね。作れなくて、ごめんなさい」