上司に秘密を握られちゃいました。

「寒いな」


艶っぽい目で私を見下ろすくせに、クスクス笑う彼のおかげで、少しだけ緊張が緩む。
でも、すぐに真顔になった彼は、愛おしそうに目を細め、頬にそっと触れた。


「好きだよ」


胸が苦しい。
けれど、この苦しさは恋の痛み。

彼は枕元にあったリモコンで電気を消した。

柔らかい唇が再び私の唇を覆ったあと、首筋を這いだす。
どうしていいのかわからない私は、体を固くして、ギュッと目を閉じる。


「藍華?」


するとその様子に気がついた真山さんは、少し離れてくれた。


「大丈夫です。ちょっと緊張します」


はじめてなのだから、仕方がない。
緊張しない人なんて、きっといない。

だけど彼なら、きっと優しくしてくれる。


「実は俺も」

「えっ?」

「藍華のことが好きすぎて、壊してしまわないか心配だ」
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