上司に秘密を握られちゃいました。

「はぁ。でも、よかった。すごく焦ったよ」


たしかに、彼には珍しく慌てた顔をしていたけれど……。


「ホントだよな。ホントに別れたりしないよな」

「はい。もちろんです」


こんなに念を押されると、遠回しに愛を囁かれているようで、くすぐったい。


「マスター、同じものを」


やっと落ち着いた様子の彼は、ドリアを注文した。


「反省したよ。
藍華を大切にすると言っておきながら、やっぱり仕事に熱中してた。
会社で毎日隣にいてくれるから、長い時間を共にできていると勘違いしてた」


こんなに申し訳なさそうな公孝さんを、初めて見た。


「いえ。公孝さんが仕事に情熱を傾けてるの、素敵だと思いますから」


それは本音。
だけど、ちょっと寂しいのも、本音だ。
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