上司に秘密を握られちゃいました。

「大丈夫ですよ」


努めて明るく振る舞った。
私が乗り越えればいいことだから。


「強がらないで」

「えっ?」

「藍華が離れて行ったら、俺、一生後悔する」


目が泳いだ。
テーブルに置かれたグラスをなにげなく手に取り、水を飲もうとしたけど、それもできないほどに心が揺れ動く。


私、本当に大丈夫、かな……。

このまま嫌がらせが続いたとしても、公孝さんと別れたくはない。
だけど、平気でいられるか、な……。


「佳乃さんが関係あるのかどうかはわかりません」


間違いなく関係しているはずだけど。


「うん」


もしも彼とこのモヤモヤした気持ちを共有できたら……少しは楽になれるのかも。
それでも頑張りますと伝えれば、いいのかな。


「受付の人に嫌がらせを受けています。
変な噂を流されたり、足を引っ掛けられたり……」

「藍華! それじゃあ、あの足の絆創膏……」


小さく頷くと、彼が目を見開く。
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