上司に秘密を握られちゃいました。
ショーを見ていた客がすごい勢いで散らばっていく。
その中をかき分けるようにして走った。
そして……。
「佳乃さん!」
見つからないかもしれないと思った彼女は、もう少しで玄関を出るところだった。
「あなた……」
「はぁ、はぁ」
今日はよく走る日だ。
息が上がって上手く話せない。
「見に来てくださって、ありがとうございました」
「はっ?」
やっとのことでそう吐き出すと、佳乃さんは眉間にシワを寄せる。
「佳乃さんも受付をされていたとお聞きしました。
佳乃さんも、東郷の歴史を支えてくださったひとりですよね」
唖然と私を見つめて動かない佳乃さんに、笑ってみせる。
「そんなあなたが、制服を破ったり、しないですよね」
彼女は目を見開いて、言葉を詰まらせた。