上司に秘密を握られちゃいました。
私を先導する公孝さんについていくと、制服がしまってあった倉庫にたどり着いた。
人気のないこの倉庫は、いつ来てもひんやりとしている。
「あの、こんなところで、なにか……キャッ」
彼は突然私の手を引き、壁に追いやったかと思うと、片手を壁に「ドン」とつく。
そして、切れ長の目を細めて、私を見下ろした。
「藍華」
「……はい」
私を『藍華』と呼ぶときの彼は、上司ではない。
「また、嫌な思いをさせたな」
「ううん。平気です」
あなたがこうしてここにいてくれるから。
それだけで、いい。
「それでも、藍華を離したくないのは、俺のエゴ、かな?」
違う。
きっと自分の過去の女のことで私に被害が及んだことに、胸を痛めているのだろう。
だけど、佳乃さんに『誰よりも藍華を愛し、大切に思っている』ときっぱり言ってくれた彼に、ついていきたい。