上司に秘密を握られちゃいました。
想像をはるかに超えた観客の数。
きっと今頃、売り場もにぎわっているに違いない。
「お姉さん、さっきの人?」
その時、五歳くらいの女の子が私を指差した。
「あっ、見ててくれたの?」
「うん。えりね、大きくなったらお姉さんみたいになる」
「ホントに?」
あの時の私と同じ。
制服姿の受付嬢に憧れて、いつか自分もここに立ちたいと思ったあの時と。
「えりちゃん。待ってるね」
「うん!」
彼女が東郷の歴史をつないでくれたら、こんなにうれしいことはない。
「あっ、すみません。娘がなにか?」
「いえ。お越しいただきありがとうございました」
えりちゃんがお母さんに手を引かれて去っていく姿を、公孝さんと一緒に頭を下げて見送った。
「西里さん、ちょっといい?」
「はい」