上司に秘密を握られちゃいました。
「明日、手伝えなくてごめんな。
重いものは休みの日に運ぶから、置いておけばいいぞ」
明日は残念ながら物産展の初日で、公孝さんのお休みは取れなかった。
「大丈夫です。引越し屋さんがやってくれます」
「うん」とうなずいた彼は、不意に私を抱き寄せる。
「実は、副社長にも婚約を報告してきた」
副社長……。
佳乃さんのお父様だ。
「……はい」
「今まで、佳乃のことでいろいろ辛い思いをさせた」
「ううん。大丈夫、です」
「藍華は『大丈夫』ばっかりだから」
背中に回った手に力がこもる。
そういうばそうかもしれない。
『大丈夫』と自分にも言い聞かせてきたから。
「だけど、これからは俺にも守らせてくれないか?」
これが結婚ということなのかもしれない。
ひとりで乗り越えてきたことも、ふたりならもっと容易い。