上司に秘密を握られちゃいました。

――ピンポン


最後の荷物の整理をしていると、突然チャイムが鳴った。


「公孝さん!」


ドアホンを覗くと、今日は来る予定ではなかった公孝さんの姿が見えた。
慌てて玄関を開けると、にっこり微笑んでいる。


「ただいま」

「おかえりなさい。今日は遅くなるんじゃ……」


北海道物産展が目前に迫っていて、たしか最終チェックかあったはず。


「うん。そのつもりだったんだけど、近藤が俺がやるから帰れって」

「近藤さんが?」

「うん。それと……」


彼は東郷の紙袋からワインを取り出した。


「これ、どうしたんですか?」

「中津さんが、社員割引で買ったから、だって」


あはは。

きっとお祝いだ。
皆の優しさに胸が震える。

彼からワインを受け取ると、段ボール箱でいっぱいの部屋に上がってきた。
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