上司に秘密を握られちゃいました。
社員用の出入り口から出ると、外の冷たい風が頬を撫でていく。
空に広がる星が、いつもより煌めいて見えるのは、私の心が高揚しているせいだろうか。
「さてと、この時間だとリアンは終わりだし……。西里さん、なんでも食べられる人?」
「はい」
好き嫌いがないのが取り柄だ。
リアンというのは、真山さんのお気に入りの店だろうか。
「寒いけど、少し歩いてもいいかな?」
「もちろんです」
上質なウールのネイビーのコートを羽織った真山さんは、やっぱり素敵。
背筋もピンと伸びていて、肩幅もがっちりしているから、実に男らしい。
そんな人の隣を歩いているなんて、夢のようだ。
「それにしても、残業つけてないなんて。派遣さんの勤務体制、見直さないとね」
私がすでにタイムカードを押していることに気がついた真山さんは、驚いていた。
「いえ、今日の仕事は私が好きでやったことですから」