上司に秘密を握られちゃいました。
「うん」と言った真山さんは、私の向かいに立って福袋をワゴンに載せ始めた。
「実はデザートのおせちというコンセプトで、正月用に用意した商品があるんだけど……」
「あっ、それ聞きました。真山さんが提案されたって」
美晴が言っていた、デザート重だ。
「そう。予定数が完売して、来年度は数を増やそうということになっているんだけど、それには今年の商品の評判が重要なんだ。
中身は自信を持ってるんだけど、ラッピングがいまいち納得できなくて」
「これが見本」と胸ポケットから一枚の写真を取り出した。
「おせちのように重箱を用意したんだけど、インパクトがあまりなくて……」
そこに写っていたのは、シンプルな淡いピンクの重箱だった。