従順なペットは愛を囁く
私の無言に耐えかねて、康之さんが口を開く。
「……なんか怒ってる?」
怒っているのは康之さんでしょ。
とは言えない。
「どうしたいの」
この空気を何とかしたいです。
とは言えない。
「面倒くせ。帰る?」
……最悪。
とは言えなかった。
「そこの居酒屋……」
と、おおきな看板が目立つチェーン店を指さすのが精いっぱいだった。
「……」
「……」
遠くに人の声が漏れ聞こえてくる個室が、余計に2人の無言状態を気まずいものにしていた。