ホルガリズム
わずかに躊躇はしたけれど、結局僕は子どもひとり分ほどのスペースをあけて彼女の隣に腰をおろす事にした。1日の仕事を終えた太陽が、ビルの隙間へと身を隠していく。
「もしかして君、しっぽ撮ってたの?」
「え?」
不意をつかれ反射的に彼女の方へ目を向けると、彼女は僕のカメラと足元の黒猫を交互に見ていた。そこでようやく質問の意味が分かった。どうやらこの黒猫が“しっぽ”らしい。
「そうだよ。ちゃんと撮れてればの話だけど。」
「ん…?どういう事?」
今度は彼女の方が、わけが分からないという顔をした。
しっぽの、遠慮がちについている明らかに短い尻尾を見ながら、僕はこのカメラ――ホルガについて答えた。
「もしかして君、しっぽ撮ってたの?」
「え?」
不意をつかれ反射的に彼女の方へ目を向けると、彼女は僕のカメラと足元の黒猫を交互に見ていた。そこでようやく質問の意味が分かった。どうやらこの黒猫が“しっぽ”らしい。
「そうだよ。ちゃんと撮れてればの話だけど。」
「ん…?どういう事?」
今度は彼女の方が、わけが分からないという顔をした。
しっぽの、遠慮がちについている明らかに短い尻尾を見ながら、僕はこのカメラ――ホルガについて答えた。