あやしやあんどん
 サトリはゆっくりと歩み、青山に導かれるまま、店内へと足を踏み入れた。
 最初に訪れたときと変わらぬ風景の中で、その人は一人サトリを待っていた。














「やぁ、サトリ。久し振り!」

 妙に親しく自分の名を呼ぶその人に、サトリは席に座り、戸惑いを隠せないままおろおろする。


「あれ?やっぱり忘れたの?」

「な、何を?」

「あーやっぱり」


 死んだはずの白川ハクトが生前と変わらぬ明るさでサトリの前にいる。
 ハクトは死んだはずだとサトリは言い聞かせていた。しかし、今、目の前にいるハクトは、あの日自分にいつ死ぬのかと聞いてきたハクトと瓜二つだった。


「あなた、死んだはずじゃ・・・」

「うん。そうだよ」


 あっさりと認めたハクトにサトリは言葉を無くす。


「君は嘘をついたね。僕の言った通りだ」

「え?」

「ほら、裕太についた嘘のことだよ」

「なんで知ってるの?」

「なんでって、君が前に僕にそう言ったからさ」


 話が見えてこない。
 サトリは不思議な感覚に陥っていた。目の前のハクトは自分とは親しいようだが、サトリにはそんな覚えはない。
 この差はなんだろう。
 サトリは考えてみたが、答えは出なかった。


「サトリは死神と関連が深いんだよ。だから、僕は死ぬ前に『死神の名付け親』ていう話をしただろう?」

「あ・・・」


 誰かから聞いた物語。サトリが同じだと思っていた死神に名付けられた子どもの話。人の寿命を変えてしまった哀れな話。


「あれは僕の忠告のつもりだった。裕太は自分の寿命くらい分かってたさ。でも、君はなぜだか嘘をついた。それはどうしてかな?」

「私は」

「分かってる。君は最初からそうするつもりだったんだ。僕が死んだあの日に約束してたんだ」

「ハクト、私はーーー!!」


 何かをハクトに伝えようとしたときだった。


「お待たせしました」


 テーブルの側に青山が立っていた。青山は何かを二人の前に置く。
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